タイトル通り「看護拒否は困ったちゃんではなく、いくつになってもお肌へのこだわりがあるというポリシーだった」の経験についてです
基本的に「拒否」という行為。それと人に対して怒りのコミュニケーション、威圧のコミュニケーションをとる方は「困っている方」
だから「怒っている」「突っかかる」「無視」など気にかかるようなことをされるときは「感じ悪い!」のではなく
「この方の困りごとは一体なんだろう?」と少しでも話せる環境にしたい!というスタンスが信念です。
病棟ではモーニングケアという仕事がある。顔を拭いたり、ひげを剃ったり、胃のチューブの
シール張替え、口腔ケアの仕事です。大学病院の急性期の外科64床の病棟。ケアの時間に限りがあります。どんどんモーニングケアを進めないとまわりきれません。
思い出すのは完全にモーニングケア拒否の80代の女性。
目ヤニがたまっています。
「顔を拭かれるとさっぱりしますよ。」
「首だけでも」など毎日いろいろなナースが様々な声かけをしますがプイッと拒否。
ある日ご本人に聞いてみました。
「なんで朝のお顔拭きなどされたくないんですか?」
「何か理由がありますか?」
「だってだって。(無言)」じーっと待つ。
「熱いタオルを渡してくるから・・・。」「わたしは家でも水でしか顔を洗わないの。なんでかわかる?」
「肌には水がいいの。冷たくしなくちゃだめなの」
ようやくポツリとお話してくださいました。
たしかに!!お肌がキメ細かくてきれいです!!
だけど目ヤニがすごい。
必要なのは声かけの工夫ではなく耳を傾ける姿勢でした。
すぐにあたたかいタオルでなく、水で絞ったタオルをお持ちしました。
「ああ~気持ちいい!!!」
どれくらいぶりでしょうか。
すんなりお顔を拭いてくださいました。
熱いタオルで拭く=ニーズに合わないものだったのか。
そもそもなんで「冷たいタオルがいいの」というお安い御用なことを、口にできないこ
じれた関係になってしまったかも考えないといけませんよね。
すぐに困ったちゃん認定はしちゃだめ。思考停止。ダメぜったい。
いくら利点を、正論を説明しても人の心には響かない。それどころか「話しても無駄」
と心を閉ざしてしまうこともあります。
拒否している理由について興味をもって聞いてみること、看護者の「これは正しいことだから言うことを聞かせる目的」ではなく、ご本人が日常生活を健やかに営むためにどうしたらいいか、の視点を持つこと、しつこくない程度に根気よくあきらめずに尋ねてみること。
これで糸口がつかめることがあることを学びました。
それにしても80代で肌への強いこだわり。かっこいい!!
といまでも印象的なんです。