がん患者の4割近くが亡くなる前の1か月間、体の痛みを抱えていたことがわかりました。
これは、全国のがん患者の遺族等約4,800名を対象に、患者が亡くなる前に利用した医療や療養生活の実態について予備調査を行い、その結果をまとめたものです。→国立がん研究センター
今回は予備調査。2019年には約50,000名を対象に本格調査を行う予定とのこと。
これは貴重な意見です。今後医療や介護の質の向上につながると思います。
なぜなら、いままでは医療者の主観での評価になっていたからです。
亡くなった患者さんの満足度はわかりません。医療者は精一杯ケアをした!と自負していても、もしかしたらご本人はとても不満だったかもしれません。
お世話になっているから・・・と少々の不満は飲み込んでくださっていたのかも。
いままで医療者は、看護技術やアセスメントの振り返りはしていても、このように患者さんの思いを振り返る機会は数少なかったです。真摯に反省や振り返りをすること、患者さんや家族の本当の思いを知ることは、ケアが向上する未来につながります。
ちなみにこの人生の最終段階の医療の実態については、患者本人に対し直接調査を実施することが難しいため、周囲で寄り添っていた家族の視点を通して、評価する手法(遺族調査)が世界的に標準的な方法となっているそうです。
さて、身体の痛みだけではなく人生の最終段階の心の動きはどうでしょう。
穏やかな気持ちで過ごせたかについての調査では、「そう思わない」「あまりそう思わない」を合わせると、気持ちのつらさを抱えていた患者さんが35%を占めました。
35%という数字をどう思いますか。
私自身は、この数は多すぎると思います。気持ちが辛い方を限りなくゼロに近づけることができたらいいです。
心と体はつながっています。穏やかに過ごすためには、まず痛みのコントロールが必要です。
「あるゆる手を尽くしても苦痛を取り除いてほしい」緩和ケアはこのたえにあります。何も死に瀕した方だけが受けることではありません。
ポイント
ホスピス=緩和ケアという間違った認識があります。
ホスピスで緩和ケアを受けることはできるけれど、緩和ケアはホスピスだけで受けるモノではありません。
痛みコントロールのために適切な薬剤を使用し、日常生活を苦痛なく過ごすことできていれば、これも緩和ケアになります。
緩和ケアはひとり、ひとりの人生観、死生観を反映します。
そして、これから考えが変わることもあります。
痛み止めの内服、いわゆる麻薬を使用するようになると、まことしやかにささやかれる緩和ケアの誤解。それは緩和ケアはガンの末期など特別な人だけが受けるもの、死期が早まると思われることです。

あくまで苦痛を取り除く目的です。
痛みは我慢せず、主治医に必ず伝えましょう。一般病棟でもできる緩和ケアはあります。