介護保険制度がはじまった2000年は「介護元年」と呼ばれています。
介護保険を導入する前の日本は、嫁が介護をするのが当たり前の時代でした。まさにおんなへんに家と書いて「嫁」の時代。
介護保険導入派と否定派では激しい論争が繰り返されたようです。
会議では「家族が介護をするべき」「訪問してきたヘルパーの冷たい手で下の世話をさせるのか」と紛糾したそうだ。
また、介護する嫁に手当をいくばくか与えて、手打ちにしようとする動きもあったそう。
結局、不正受給がまかり通ると(元気な高齢者を介護状態と見立てて、介護費を受給する)という反対意見が大蔵省(現・財務省)から出て頓挫した様子。
いま考えると、ものすごい時代錯誤の考えで驚きます。たった18年前って日本こんなだっけ。
女性が介護要員でなく自由に生きる社会を作るため奮闘したと「高齢社会をよくする女性の会」理事長 樋口恵子さんの戦いについて読売新聞の特集で読みました。
樋口恵子さん、読売新聞の「人生案内」の回答がとても好きだったけれど、そんな偉業を成し遂げた方とは。ますます人生案内の回答に深みを感じるようになりました。
それなのに。いまだにエンディングノートでは
□自宅で家族にお願いしたい
□自宅でヘルパーなどのプロに手伝ってもらって家族と過ごしたい
□病院で過ごす
□施設で過ごす
といった選択肢・・・。ええっ。もうこの選択肢作った人20年前の人なの?過去からタイムマシーンにのってきた人なの?正気ですか??と言いたい(言ってる)
自宅で過ごしたい!と希望される方!
□自宅でヘルパーなどのプロに手伝ってもらって家族と過ごしたいこれ1択です。
何のために介護保険料をおさめているのですか。
介護離職、介護により子ども一家が離散、これらはひとりの家族に過重な負担がかかるから起こるんです。どうしても近くに住む家族に負担がかかってしまいます。または独身者ですね。
これはダメです。
今を生きている人には、その人の人生を歩む権利があります。
じゃあ、自宅で介護を受けることはあきらめないといけないの?
いいえ。自宅で過ごすことをあきらめる必要はありません。
平成27年度の厚生労働省の調査でも自宅で介護を受けたい方がダントツです。
平成27年版 高齢社会白書より
どうすればいいのか。それは介護保険を利用してサービスを受けながら生活するのです。
はじめに、市役所の高齢福祉課などで介護認定を受けます。そして介護度を判定。介護度に応じたサービスがありますので、ケアマネージャーさんがその方の生活にあったプランを考えます。
自宅で介護を希望される方にお願いがあります。
サービスを拒否しないでください。
もし入院すれば医師・看護師・コメディカルの方々が介入します。施設入所なら介護士・看護師、ときには医師が介入します。
ですから病院・施設を望まない方が自宅で過ごすならば、在宅医、訪問看護師・訪問介護士などが関わるのは当然のことです。
そして、ご家族にお願いされたときには「ショートステイ」も使ってください。
自宅に残していくことが家族には不安でたまらないときもあります。
こういったサービスを受ければ、だれか1人に過重な負担がかからないよう調整し、介護離職や一家離散を防ぐこともできます。負担がかかりすぎると優しくなれないものです。心の余裕が介護者には必要です。誰だって優しくされたいですよね。
介護生活はいつ終わるかわかりません。
辛く苦しい思いをお互いにしないためにも、サービス利用は必須です。
最期は自宅で過ごしたいと思っている方、エンディングノートに介護されたい場所で自宅を選んだ方。
デイサービス、ショートステイ、訪問介護、訪問看護を状況に応じて入れることを了承してください。そうでないと望むような自宅での生活は難しいです。
自分の望んだ暮らしを手に入れるからこそ、利用するのです。
好きなモノが食べられる、お気に入りに囲まれて過ごせる、ほっとする、何時に寝ても何時に起きても大丈夫、そんな自宅暮らしを希望されるなら必ずサービスの利用を。
介護者がプロだからこそ得られる技もたくさんありますよ。

住み慣れた自宅でなるべく長く生活するためにもぜひ、サービスを利用する意味を考えてほしいです。