前回の記事はこちら → 遺言書を書くの?エンディングノートだけでもいいの?の疑問に答える②
「遺言を書くとしたら、どうしたらいい?敷居高そうだな」
「最近売ってるエンディングノートに<自分で遺言を書ける用紙>が入っていたけどそれでいいのかな?」
実際に遺言書を書くとしたらどうしたらいいのかを考えていきます。
遺言とは
遺言とは、自分の死後に一定の効果が発生することを意図した、故人の最終意思が表示されたものです。
普通方式、特別方式・・・といろいろありますが
エンディングノートを書く方に関係があるのはこの2つ
まずざっくり説明します
「自筆証書遺言」←自分で書ける遺言!とエンディングノートに最近おまけについてるもの。費用はかからないけどちゃんと書けるかは心配
「公正証書遺言」←専門家に依頼するからお金かかるけど安心
遺言は法的効力が生じますから一定の厳格な方式性が要求されます。
ではここで問題です。
「自筆証書遺言」
「公正証書遺言」 どちらがより厳格な方式性が要求されるでしょうか?
ちっちっちっちっち・・・(シンキングタイム)
はい。答えは「自筆証書遺言」です!!
自筆証書遺言とは
自筆証書遺言は、すべての文章を自筆で書くものです。自分で書くものですから、特段の費用はかかりません。また自分ひとりで秘密裏に作成することも可能。
とにかく「手軽」「無料」!!これが一番のメリット。紙とペンさえあれば、思い立ったらすぐに作成できます。
自筆証書遺言の書き方
自筆証書遺言の作り方
遺言書が全文と日付、氏名を記入し、押印します。
「自筆証書遺言」は民法上または判例法理を通じて、厳格な要件をクリアしなくてはなりません。
たとえば
「遺言書を自筆しなければならない」
「加除訂正を厳格な要件の下に行わなければならない」
などの要件が定められていて、これらに違反するとせっかく書いた遺言が!!!方式不備で無効とされる危険性があります。
✅代筆を頼むことはできません
✅パソコンを使用することもできません
デメリットは、自分で保管する遺言書ですから、紛失することや、好ましくない人間に破棄されること、勝手に開封して書き換えられてしまうおそれ、が考えられます。
また、遺言者の死後、発見されない場合があります。せっかく用意したのにこれは悲しい。エンディングノートに、自筆証書遺言を用意していること、しまってある場所、を必ず明記しましょう。
さらに、自筆証書遺言を発見した時は家庭裁判所の検認を受ける必要があります。
自筆証書遺言はお金がかからないぶん、リスクがあることを承知の上で使用しないといけません。
大きなメリットは「手軽」「無料」!!
遺言内容や相続関係が複雑、自筆は心配、お金かかっても安心をとりたい・・・という場合は「公正証書遺言」の作成がおすすめです。
こちらは公証役場とのやりとりの手間や公証役場への手数料支払いが発生しますので数万円の出費となります。
公正証書遺言とは
公証役場で公証人に作成してもらう遺言書です。証人2人と一緒に公証役場へ行って遺言内容を説明し、文書を作成してもらいます。
文書は公証役場で預かってもらえます。自宅保管と違って改ざんのおそれがないため、遺言を実行する際に自筆証書遺言のような家庭裁判所での検案手続きは必要ありません。
ちなみに証人は、誰でもなれるわけではありません。
◇未成年者
◇遺言で財産を譲り受ける人、その配偶者、その直系血族
◇公証人の配偶者、4親等内の親族
◇公証役場の職員
◇遺言書の内容を確認できない、読めない人
以上の人は対象外です。ようするに、利害関係がからまない人が証人になる必要があります。
信頼できる知人にお願いするか、適当な証人がみつからない場合は公証役場で紹介してもらうことも可能です。
相場は証人ひとりにつき1万円程です。
誰でも話せる内容ではありませんから、慎重にお願いする必要があります。
公正証書遺言の書き方
公正証書遺言は、証人2人以上の立ち会いのもと、遺言者が口頭で遺言内容を述べて、それをもとに公証人が筆記します。よって、自筆で遺言書を書く必要はありません。
遺言者と証人、公証人が署名・押印をします。
公正証書遺言は公正証書として公証役場に保管されます。公正証書遺言を確認するときも原本でなく写しを公証役場が発行します。だから紛失や破棄されるおそれがないう安心感があります。
また様式不備になる恐れはありません。
公正証書遺言は公証人のチェックを受けているため法的有効性が認められます。
家庭裁判所の検認は必要ありません。
手間とお金はかかります。大きなメリットは「安心」「安全」「確実」!!
まとめ
不動産、預金、株、投資、保険、など自分の財産の情報がばらばらに保管されていることはめずらしくありません。
エンディングノートの作成により、財産を見える化しておきましょう。
何も死を迎える準備というだけではないのです。急な入院、災害、事故。何か困ったことがおきたとき、配偶者や子どもが何もわからないと必要なお金を引き出すことすらできません。
とはいえ、親が遺言の作成を考えてくれない、ということはよくあることです。
財産目当てのようでなんとも言えず、いやな気持ちになったりさびしく思ってしまう心情があることも理解しましょう。
エンディングノート、というよりもしものためのノートの作成をきっかけに、親が自らの今後を考え、家族と率直に今後について話すことができ「やはり遺言書を準備したほうがいいな」という流れになることが理想です。
前回の記事はこちら → 遺言書を書くの?エンディングノートだけでもいいの?の疑問に答える②