1.はじめに
病院に勤めていたときには、ちょっとしたことでも心配で再受診したり、電話相談して来られる患者さんがたくさんいた。だから、言えない患者さんの存在を知らなかった。
しかし在宅の現場に行くと、医師に遠慮して不安も心配も言えず我慢していたり、何て相談したらいいのか、いやな顔されないか、先生の考えを否定するようで申し訳ない・・・などと医師に相談できない方がとてもたくさん存在していた。
病院に勤めているときは、病院にアクションを起こせる方と接していたから「たくさんの方が相談している」と感じていた。
実際は、モノを言わない方は「了解した」「心配はない」と見なされ、埋もれていたのだ。
たくさんの方が悩んでいる「先生にどう言ったらいいの?」「先生にこんなこと言ってもいいの?」を看護師が解説します。また医師にもっていく相談メモを作成したのでご紹介します。
2.在宅の高齢者が医師に言えないと悩んでいること
高齢の方は、持病により定期的に受診をされている方が多い。受診したときに次回受診は1か月後ね、とか3ヶ月後ね、と予約を取って帰ることがほとんど。次回受診日まで薬が出ているので、通常であれば内服が切れる頃に受診をすることになります。そうです、通常であれば!
しかし在宅の方は「通常でない状態なのに」我慢していることも多く、驚くことがあります。
例えば、「体の右半分がしびれてもう2週間経つんだけど、次の受診まであと1ヶ月あるのよ」
「薬を変えたら、なぜかフラフラしてまっすぐ歩けないんだ」
「薬を変えたら、吐き気がおさまらない。様子みて3週間経ったけど、ずっと気持ちが悪くて食事も喉を通らない」
「心不全があって、徐々に息切れがひどくなってる。少し家事をやるだけでゼエゼエしてしまう。でも次の受診まであと2週間もあるから我慢しないと」等などのお話をされ、「お辛かったでしょう。こういう変わった状況の時には病院に連絡していいんですよ」とお伝えすることがあります。
次回受診まで日があったら、電話でまず相談したらいいです。
「受診日ではないのですが、○○という症状があって辛いので、早めに受診したい。」「様子をみていい症状なのかを確認したくて病院に相談しました」と言えばよいのです。
東京都西多摩保健所作成の「かしこい患者はきき方上手。もっと話そう!伝えよう!」のPDFファイルも参考になると思います。
3.医師に伝えるメモ
要点だけ、簡潔に書くことをおすすめします。忙しい診療の中、レポート用紙数枚!といったぎっしりと書いてあるメモは読んでいられないからです。要点とは何かというと下記のものです。
辛い症状は何か→吐き気 倦怠感 皮膚のかゆみ むくみ 急激な体重増加 視覚異常 味覚異常 食欲不振 歩行状態の変化 息切れ(その他)
いつからはじまったか → 何月何日(朝・昼・夜)ころから
その症状の頻度は → 一日中か、一定の時間継続するのか、同じ時間帯か、2~3日に1回なのか
心配なこと → (薬の副作用? 新たな病気?など)
この程度のボリュームでいいです。あと足りない部分は、医師が質問していきます。
簡単に症状と時系列、頻度がわかれば良いのです。医師もさっと読めて、わかりやすく助かります。
患者さんは、医師の前だと緊張されることが多いのでメモなら「これを言い忘れた!」を防ぎ心配を抱えないで済みます。
4.おわりに
医師も神様ではありませんから、瞬時にすべての体の調子を知ることは不可能です。患者さんの訴えは大事な診断の要素になります。我慢し続けず、辛かったら受診しましょう。別の疾患が隠れている可能性もあります。