夫の父親、私にとっての義父は血糖が高いことをたびたび健康診断で指摘されていた。
無理もない食生活だったから、70歳まで病気ひとつしてこなかったことが不思議なくらいな人だ。
極度の偏食に義母もお手上げ状態。
野菜は一切食べない。甘い物は好む。夕飯はメロンパンとヤクルトでOK。運動しない。お腹だけがどんどん突き出ていく。そんなこんなでじわじわと上がっていった血糖値。
ある年の健診でHb-A1c(NGSP)という過去1~2ヶ月の血糖の平均値が7.8%との結果が出た。
6.5%以上は糖尿病の検査が必要な値である。しかし、義父は病院嫌いでそんな検査は必要ないとつっぱねる。「だから健診なんて受けなくてよかったんだ」とはちゃめちゃなことを言い出す始末。義母から、検査を受けたがらないんだけどどうしたらいいのか、と困り果てて連絡が来た。
義父ははちゃめちゃなことも言うけれど気のいい人だ。私はとても義父ながら好きな人柄だ。だけど頑固さも、まあ、わかっている。
嫁の立場で義父を注意ってなかなかのハードルではありますが、放っておけません。
義父母と夕飯を共にする日、軽い感じで「お父さん。先日健康診断をうけたんですよね~」「何か医師に言われましたか?」と切り出してみました。
「いや。順調です!と言われたよ」とあっさり嘘をつく義父。
私「いやいやいやいや。お母さんに聞いている話と違いますねえ。血糖値が・・・・?(皆まで言わない」
義父「あー。なんかちょっと高いとか言ってたけど何でもない」
私「ん?何でもないですか?血糖値がなんとか・・・?」
義父「血糖値なんか関係ない関係ない。順調順調」
そこで真剣に言いました。「お父さん。嫁の立場、そして看護師としての立場でちょっと厳しいことを言わせていただきますね」
「HbA1cが7.8% このまま放置しておけばあっという間に8%を超えます。そうなるとどうなるかわかりますか。」
「神経障害は知っていますか。放置していると足が壊疽という状態になり最悪切断となります。そんなことレアケースと思いますか。私はたくさんのそうした患者さんに会っています」
「さらに糖尿病性網膜症といって失明の原因になります。これもよく見る症状です。」
「透析をしている方の話は聞いたことがありますか。糖尿病性腎症といって糖尿病により腎機能が低下し老廃物がたまった状態になるので定期的に人工透析が必要となります。」
「いずれもほとんど自覚症状がなく、症状は静かに、静かに進行していきます。今ならまだ引き返せるかもしれない。でも合併症がはじまったら止められません。今、お父さんは人生の岐路にいます。」
義父「・・・・。いいんだ。俺、長生きしたくないし。いいんだ。そうしたら死んじゃえばいいんだ」
「お父さん。(1回沈黙)残念ながら糖尿病で簡単に死ぬことはできません。さきほど言ったあらゆる経過を経てもすぐには死にません。体がぱんぱんにむくみ、尿毒症になりようやく死ぬことが多いです。はっきり言ってつらいです。ぽっくりは死ねません。」
「ただね、お父さん。糖尿病は、症状、血糖値、HbA1cの値を総合的にみて診断します。ブドウ糖を飲む検査などの詳しい検査が必要ですから受診しましょう。いまなら、まだ食事療法と運動療法の生活の改善だけで内服も必要ないかもしれませんよ。でも検査しなければわからないです」
「お父さんとお母さんには大好きな旅行をしながら、これからも元気に暮らしていってほしい。糖尿病は「痛い」「痒い」とか目に見える症状がないからピンと来ないのはわかります。でも静かに進行していくことが本当にこわいんです。症状が出る前に改善することが必要なんです」
義父 「・・・・わかった」いつになく神妙な様子で答えました。
その後検査に行き、糖尿病と診断。食事療法と運動療法、定期受診がはじまりました。
もともとの食生活からすると、改善は容易ではありません。
糖尿病の食事といえば野菜たっぷりメニューばかり。市役所の栄養相談を勧め、野菜の代わりに海藻を取り入れるなど具体的にアドバイスを受けました。大好きなハーゲンダッツは義母と半分にし、その日はご飯を減らしました。タンパク質をしっかりとるように心がけました。
また毎日1時間、散歩をするようになりました。
食事療法、運動療法をはじめて3か月して血液検査をした後、「こんなに頑張っているのにHbA1cが下がらない!」と自暴自棄になっていると義母から連絡が来ました。義父に電話をかわってもらい
「3ヶ月間頑張ったからイライラするのもわかります。でも70年かけてむしばんだ病気をたった3ヶ月で直すことは不可能なんですよ。時間はかかります。でもここまで生活を変えるのって並大抵のことではないからお父さんの意思の強さを感じますよ」と伝えました。
そして1年間、きちんと地道に食事療法、運動療法を続けたのです。ぽっこりしていたお腹はへこみ、HbA1cは7.1%になりました。
目に見えた結果を家族で喜びあい、義父も目標が持てたようです。
その後も努力し続け3年後。検査結果でなんとHbA1c5.3%に。
継続は力なり。食事作りと励ましで支えた義母も、70歳になってこれまでの生活を変えるという努力をした義父も本当に素晴らしかった。
もちろん義父母に伝えました。
3年間で10kg体重が減り、毎日の散歩は義父の日課で楽しみになりました。まるで教科書みたいな好例だなと思いました。
「死んでもいい」はもう口にしません。
糖尿病の食事療法、運動療法の効果を実感し、症状が悪化する前に生活改善する効果を目の当たりにしました。
悪化する前に食い止めることは、人生の質の向上につながりますね。
リスクも含め、厳しいことでも冷静に真摯に伝えることは大切なことです。医者まかせではなく、当事者として考えていく必要があります。
ある意味、妻や息子では感情的になりやすいので、嫁という立場から伝えたことは我が家の場合ですが、よかったのかもしれません。
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