余命3か月です・・・・。
テレビの中の話のような、考えたくないようなことですが、実際その状況になったらあなたは余命宣告をしてほしいですか。それとも聞きたくないですか?
1.余命宣告しないことが多かった時代
かつては(1990年代ころまで)は、本人に余命宣告しないことも多かったです。ご家族が「生きる希望を失ってしまうから本人には言わないでください」という方が多くいらっしゃいました。
でも治療しても、治療しても、回復の兆しが見えず容体が悪化していく。患者さんもおかしいと疑い始めるのです。自分のことを知りたい。どうなるのか知りたい。そう思うのは自然ですよね。何回も何回も「本当のことを教えてほしい」「私はもう治らないんでしょうか」と聞かれたことがあります。
周囲にはぐらかされ、疑心暗鬼になっている患者さんはとてもつらそうでした。そして、何回聞いても誰も教えてくれないと悟ったとき、もう何も聞かなくなるのです。
現在はご本人にお伝えするのが一般的です。
どうしても聞きたくないという方は、意向を伝えておいたほうがいいです。
2.余命は何を基準に宣告しているか
あくまでもデータや経験に基づく予測値です。その通りになることも、そうならないこともあります。病気の進行具合もさることながら、個人差も大きく、実際にその人がいつ亡くなるのかは医師でもわかりません。神様しかわかりません。あくまで目安と思ったほうがいいです。
3.余命宣告されたOさんの話
末期ガンで余命半年と宣告された患者さんでOさんという方がいました。
Oさんは余命宣告されるや否や、いったん退院。
なんと奥様とヨーロッパ旅行に行き、愛人とは国内旅行へ。いままで過ごした大切な人にお礼と思い出を作る時間を持ちました。
体調もかなり波がありましたので、よくぞ行ってこられた!という状況でした。それでも元気に戻ってこられました。笑顔を見たとき心からホッとしたことを覚えています。
そしてOさんは病院に戻られたあと、1か月ほどであっという間に亡くなられました。
不倫の是非はここではさておき、残されたお二人の女性が「きちんとお別れができた」「幸せでした」とお話されていたことがとても印象的でした。
さて年単位、数か月単位の余命宣告は目安と思っていいですが、あと数日かな、1週間前後かなという余命の見通しはある程度知ることができます。
4.余命を知る指標となるもの
1.呼吸の変化
呼吸パターンが変化します
努力呼吸(肩や胸が大きく動く呼吸、深呼吸するような呼吸)
チェーンストークス呼吸(1回止まって、ちょっと吸ってまた止まっての呼吸)
下顎呼吸(かっくん、かっくんと顎で呼吸、口をパクパクあえぐような呼吸)
2.意識の変化
意識レベルの低下(意識がもうろうとして、眠っているような状態)
終末期せん妄(認知症のようなつじつまが合わない言動、幻視・幻覚)
3.経口摂取の状態
飲めない、食べられない
4.皮膚の変化
四肢冷感、むくみ、チアノーゼ(皮膚や粘膜が青紫色になる)
5.情動的な変化
落ち着かない、身の置き所がない
6.全身状態
身体機能の低下、急激な悪化、排尿が極端に少なくなるなど
7.医療者の勘
何かわからないがいつもと違うという気配、においなどを感じる
引用 医学書院「精神科の終末期ケア」講演より
5.まとめ
悲しいけれど、誰にでも必ず訪れるお別れの時。
家族や大切な人と、きちんとお別れの時間をとることは、残された方にとってとても重要なことです。
その思いをずっと抱えて後の人生を歩んでいきます。
人は誰しもああすればよかった、こうすればよかったと考えがち。
何も後悔がないことなんてなかなか難しいけれど、少しでも自分の望む生き方を貫けることを願っています。