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差額ベッド代とは?医療費控除は使えるの?

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「差額ベッド代が結構かかったのよねー」入院した方の話によく出てくる差額ベッド代。
「個室に入るとかかるものかな?」と曖昧な認識なことも多いようです。差額ベッド代は健康保険がきかない入院費用の代表的なもの。そして支払金額で揉めることも多いのがこの差額ベッド代です。

ishiko
いざという時にきちんと意思表示ができるよう、基本的な知識を知っておきましょう

1.差額ベッド代とは?

入院環境の向上を図り、患者さんの選択の機会を広げるものとして認められたもので、料金は患者さんが負担します。
病院に入院した際に、差額ベッド代がかからない通常の病室は6~8人部屋です。大部屋と呼ばれます。

4人部屋からは差額ベッド代が発生します。
差額ベッド費用の目安(厚生労働省 中央社会保険医療協議会資料より)
4人部屋 2407円
3人部屋 2800円
2人部屋 3087円
1人部屋 7797円

個室の場合、特に豪華な個室ですと1日につき10万円プラス!なんていう病室もあります。
個室のグレードもそれぞれなんですよ。部屋が広いとか、クローゼット付きとか、家族が来た時にくつろげるミニテーブルとイスがあるとか、バストイレ付きだとか。グレードで料金が変わるのはホテルみたいですね。
私が勤務していた大学病院では、個室の中でも一定額以上のお部屋では食器も黒塗りだし、お盆も大きく、食事内容も違いました。一般のお部屋だとデザートがミカン、特室だとメロンだったり。
(配膳の時、ちょっと気を使いました。)

お金の考え方は人それぞれ。
ちょっとプラス料金を払っても入院中快適に過ごしたい、人に気を遣うのがしんどいという方もいます。
入院はただでさえお金がかかるからできるだけ無駄な出費がないように、入院は気が滅入るから人と顔を合わせる大部屋のほうがいい、と考える方もいらっしゃいます。

差額ベッド代がかかるお部屋を、ご本人の希望で希望された場合は全く問題がありません。希望されて、設備などに納得し料金がかかることを納得し、同意を得られているわけですから。

2.差額ベッド代の支払いを患者さんに求めてはいけないケース

差額ベッド代は患者さんに「請求を求めてはいけないケース」があります。H30年3月5日に厚生労働省から通達が出ています。

Ⅰ.患者からの同意書による同意の確認を行っていない場合
同意書に室料の記載がない、患者または家族の署名がない等の内容が不十分である場合も含みます。

Ⅱ.「治療上の必要」により本人希望でないのに差額ベッド室へ入院した場合
例えば以下のような例

☑急変により呼吸器管理。大きな機械を搬入、管理するのが大部屋では難しい。治療のため個室管理が必要

☑手術後は頻回は血圧や心拍数などのモニター管理が必要。測定のため夜間も医師や看護師の出入りが激しい。大部屋ではほかの患者さんもいて睡眠を妨げてしまうので個室へ術後だけ移動する

☑白血球が極端に少なく免疫力が低下。大部屋だと感染症に罹患するおそれがある    

Ⅲ.病棟管理の必要性等から差額ベッド室に入院させた場合であって、実質的に患者さんの選択によらない場合
例えば以下のような例

患者さんが院内感染(MRSA)。ほかの入院患者へさらなる院内感染拡大防止のために入った個室

☑救急搬送されて入院。空きベッドがなくやむを得ず個室に入院することになった

このように本人・家族の意思に関わらず必要性に応じて大部屋ではなく個室を利用した場合は、請求を求めてはいけないことになっています。
逆に、上記の場合でも、十分な説明と患者の同意があれば「病室に空きがない」という理由でも差額を徴収できます。

3.高額療養費制度は適用される?

健康保険には、一定の金額(自己負担限度額)を超える医療費を支払った場合、その超過分が返ってくる『高額療養費制度』があります。
長期の入院や手術で医療費がかさんでしまったときに、一定額以上の負担がかからないため、非常に役に立つ制度です。しかし、差額ベッド代は自由診療なので適用されません。

4.医療費だから確定申告で申請できる?

自己又は自己と生計を一にする配偶者とその他親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。
1年間に10万円を超える支払いをしたときが目安になります。

せめて確定申告で高額な差額ベッド代が戻ってきたらうれしいですが、残念ながら適用外です。
国税庁の「医療費控除の対象となる入院費用の具体例」に明記されています。
本人や家族の都合だけで個室に入院したときなどの差額ベッドの料金は、医療費控除の対象になりません国税庁HPより

5.差額ベッド代 不当な請求ではないの?と悩んだ時の電話相談

「同意しないならほかの病院を受診するように言われた」こういった不適切なケースもあります。
医療に関する様々な相談に応じている認定NPO法人「ささえあい医療人権センターCOML」の電話相談。こちらでは医療費に関する相談の約半数が差額ベッドをめぐるものだそうです。


賢い患者 (岩波新書)

COLMの理事長 山口育子さんの著書。「お医者様の言う通り!」ではなく、患者さんが医療をうけるときの考え方を学ぶことができます。また医療者としても「患者さんと寄り添う」ことについて深く考えさせられます。

6.まとめ

入院時は記入する書類がいくつもあり、さらに、緊急入院ともなればバタバタしていてかたっぱしから署名捺印してしまいたくなります。
細かい字でたくさんかかれた規約なんか目を通していられない・・・そんな事情もよくわかります。
でもちょっと待ってください。
同意していない差額ベッド代なら同意書を記載しない!これがトラブル回避にいちばん必要なことです。
「これは何の書類ですか?」
看護師がバタバタしているようだったら病棟師長や医療相談室、医療事務に尋ねてみてください。(実際、受け持ちの看護師は書類関係は苦手な分野。よくわからないことがほとんどです)

一方、患者さんが一日中過ごす病室です。実は面会にくる家族では見えない部分もあります。
集団生活が合わず、家族が同意していないけれどご本人が4人以下の部屋を希望されることもあるのです。
患者さんと医療者は要求や駆け引きをする間柄ではなくパートナーです。
金銭面の限界もあるでしょうから、そのあたりもふまえつつ、ご本人の望む形で入院生活を過ごせるよう、そして納得した形で過ごせるようにご家族が率直に疑問点は伝え、病院側と話合いをしていきましょう。

また病院で印象的だったのは、差額ベッドを使われている方は「医療保険に入っていたからお部屋選べるのよ~」という方が多かったこと。何事もなく過ぎていくとなんだか保険料の支払いがもったいなく感じる医療保険ですが、やはりもしもの備えとしては必要かなと実感しています。

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