ただいま2018年です。
3年前の2015年から、終末期という言葉を厚生労働省が使っていないことをご存知ですか?
終末期とは言わず!「人生の最終段階における医療」
これまでに実施された意識調査の結果などからは、終末期医療に関する国民の意識が変化していることや、「終末期」と一口に言っても、患者または利用者等の状態や取り巻く環境などは多様であることが示されており、国は終末期医療に関して何らかの取り決めを示すことについては慎重な姿勢をとっていた。しかし、「終末期医療のあり方」について、広く患者・家族・医療職が合意できる基本的な点を整理し、それをガイドラインとして示すことが、より良い医療につながるとの理由から、2007年に「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」および解説編が作成された。さらに、最期まで尊厳を尊重した人間の生き方に着目した医療を目指すことが重要であるとの考え方に基づき、2015年3月には従来使われていた「終末期医療」という表記を「人生の最終段階における医療」に変更することとなり、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」および解説編と名称が変更された。厚生労働書HP「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」より
要約すると、「終末期」を「人生の最終段階における医療」と呼ぶこと、
生き方だけでなく死までの希望、生活の質を大事にどう生きるかが大切で
最期まで尊厳を尊重した人間の生き方に着目した医療を目指すことが重要と書かれています。
いままでの医療も、インフォームドコンセントといって「説明」と「同意を得ること」は行われてきました。
しかし、人生の最終段階の選択は実際にはどうだったか。
救急搬送されてきたり、脳梗塞の麻痺で自由に言葉を伝えられない状況、認知症が進み自己決定が難しくなった状況で、本人の自己決定がままならない場面がたくさんありました。
そうなると、どうしても家族の意向を優先せざるを得ません。
しかし、家族自身も重大な決断をすることに、悩んでいることも多いのです。
「元気なうちにどうしたいか聞いておけばよかった」
「そういう話を聞くことはあったけれど、いざ自分の親となるとなかなか切り出せなくて」
という声も何度聞いたことでしょう。本人の思いはわからないままです。
医療者や介護者も「これでよかったのかな」と思う場面はありました。
ですから単にお医者さんから説明を聞いて、決めるのではなく、患者さん自身がどう生き抜いていきたいかを主体的に考える、というのは画期的なことなのです。自分の人生だもの。本来そうあるべきです。また、自分だけで完結するのではなく、家族に考えを伝えておくことの重要性にもスポットを当てていることも良い点です。
加えて、下記の記述もあります。
医師等の医療従事者から適切な情報提供と説明がなされ、それに基づいて患者が医療従事者と話し合いを行った上で、患者本人による決定を基本とすること
それでは、自分の生活を大切に、自分の考えを貫いて生きていくにはどうしたらいいのか。
クリスマスを祝った1週間後には神社でお参りをしているという、独特の宗教観の日本人。それゆえ、すがるものがない方が多いということになります。このため死生観も様々です。
さらに、まだまだ「死はタブー」の考え方が根強いです。
健康な時にいかに最期を迎えるかを考えることが不謹慎と思ってしまう方も多いです。しかし、今の生を大切にするためにも、自分のゴールを逆算して考えることは有意義です。
重い腰が上がらない方へ。
医療従事者から適切な情報提供と説明がなされることで、人生の最終段階の大切な選択ができます。せっかく書くのですから、病院や施設で本当に役に立つ意思表示をしたいですよね。医療行為ひとつひとつの意味や選択に迷うこと、想像がつかないことはたくさんあります。
医療・介護の項目が充実したエンディングノートを選び、記載していきましょう。
どうしてもわからないことはかかりつけ医に質問しましょう。
ゆっくり相談したい方はご相談も受けております。
看護師として、エンディングプランナーとして、いかに的確にわかりやすく伝えていくかが必要と考えています。後悔ではなく、自分の選択を貫いて満足した人生を歩んでほしい。
突然やってくるもしもの時。
最期までひとりひとりが望む生き方を手に入れられるように心から願っています。