全国の100歳以上の高齢者は、今月1日の時点で6万9000人余りと去年より2000人余り増え、過去最多になったことが厚生労働省のまとめでわかりました。おめでとうございます。
一方、「超高齢化社会」「医療費増大」という言葉を新聞記事やニュースで見聞きするたびに思います。
えっ!!長生きして悪いの??
ちなみに医療費増大に関し、米国のエビデンス(科学的な根拠)では、医療費高騰を招く最も大きな理由は高度技術の開発だと言われています。
しかし高度医療技術の開発は人間の悲願で進められてきたこと。
◎いままで治癒できなかった病気、難病が治るかもしれない
◎いままでなら、成す術がなかったのに新薬ができて治療できるかもしれない
◎いままで開胸、開腹していたのが、内視鏡で治療できるから侵襲が少なく体力の回復が早くなった
◎いままでなら違和感を感じながら生活をするのが当たりまえだったのに、人工骨や人工関節も、生体になじむ材質の進歩で日常生活を十分に支えられるようになった。
どれも人間の知恵と技術を結集させた素晴らしい進歩です。
先日のノーベル医学生理学賞 本庶佑先生の研究を見ても、長年人間を苦しめてきた悪性新生物(ガン)を、不治の病ではなくいつか克服できるのではないかという希望的観測を持つことができました。
現段階でも平均寿命の前年との差を死因別に分解すると、男女とも悪性新生物、心疾患(高血圧性を 除く、以下同じ)、脳血管疾患などの死亡率の変化が平均寿命を延ばす方向に働いています。
👇平成29年簡易生命表の概況|厚生労働省
医療技術の進歩、日本の国民皆保険制度による医療の成果での長寿はすばらしく誇れることです。
高齢化に伴う高齢者自然増については予測できていたことです。
福祉を後回しにしてきたツケが回ってきただけ。
子どもたちが解く社会の問題やテストを見ていると、「少子高齢化」について考えを問う設問が多く出されています。答えをみると暗い気持ちになります。
子どものころから「高齢化、歳を重ねた人が増えることは社会保障の増大でいけないことなんだ」というような意識を植え付けないでほしい。
医療費増大の問題は、喜ばしい平均寿命の増大よりも下記のような、日本特有の問題を正していきたいです。
✔同じ薬でも日本は世界中で一番薬の価格が高く設定されている
✔医療材料費も日本は諸外国と比べ、ずば抜けて高額
✔薬をたくさん出す病院が儲かる仕組み
✔治療でないマッサージを医療費でまかなってしまう抜け穴
✔社会的入院をはじめ、在院日数が多いこと
✔受診回数が多い、安易な受診が多い
✔検査が多い
大事な人が長生きできるというニュースを素直に喜びたいです。
100歳を超えるまで生きていくとなると・・・
65歳に定年したあと、そのあとの人生が35年続くことになります。
35年って、最長の住宅ローン設定くらいの長さです。文字通り人生これから。
皆が望むのことは健康寿命を延ばすこと。
病気の予防をしていくことが大事です。
小学生、中学生に教えるのは、高齢化で社会保障費が拡大することを嘆くよりも
メタボ、塩分やカロリー取りすぎ、ダイエットの害、タバコ、薬依存などを考え、子どもが中心となって家族で健康に関心を向けられるような授業が望ましい。まだまだやることはありそうです。
高齢の方と接してきて90歳を超えて元気な方は
自分でお食事を召し上がることができる
自分でトイレにいける
ここが大きなポイントだと思います。
できる限り噛んで食べられるよう、歯のメンテナンス、入れ歯メンテナンスは大事!
すぐに軟飯、きざみ食、ミキサー食にせずなるべく噛める食事をたべること。
時間がかかっても、自分のスプーンで口に運ぶこと
(ここらへんのスプーンの工夫は作業療法士さんのアイデアがすごいです。)
トイレに自分で行ける範囲に寝室を設定すること、
定年のタイミングで家を改築するときには20年後を見据えた設計をすることも必要と思います。
おむつにすればいいやというあきらめの気持ちを持たせない対応、
トイレのために歩行リハビリもセットで行う必要があります。